即興哲学第25回 「時分の花」と「誠の花」

なぜ、今年のBATSのショーはつらいんだろうと、サンフランシスコで考えてました。1年目のショーは、自分にとって何もかも新鮮だった。お客さんは私が舞台の上で何を言っても何をしても喜んでくれた。一緒にやる役者も楽しそうだった。でも、3年目の今年は、ずっと滞在してショーに出ていたので、日本人である私がショーに出ているのも、だんだん日常になってきた。けれども、私の英語力がアップしたわけではない。やっぱり、シーンの中で何が起こっているのかわからない。それが、今までは「面白い」となっていたのに、今年は「コミュニケーションが取れない」になっている!

600年前の能の教科書である世阿弥の『風姿花伝』の中に、「時分の花」と「誠の花」という言葉が出てきます。「時分の花」は、若い演者なら誰でも持つが、やがて消え去る花。「誠の花」は、稽古によって得られる消えることのない花。

私のBATSでのインプロも次の段階に来たのでしょう。ここからが新しいインプロの世界。たいへんだけれども学ぶことも多いし、喜びも多い世界なのでしょう。‥‥と、かっこいいことを言ってますけど、何はともあれ、英語を勉強しなくちゃね。

(2002/12/4)