即興哲学第68回 インプロとカウンセリング

私は3年前から大正大学で、授業の他に、学生の相談を受ける仕事をしています。そして、今年1月から、今度は一橋大学の学生相談室に勤めています。もともとカウンセラー志望はなかったのですが、運命の糸に引っ張られ、思いもせず、こういう仕事をするようになりました。やってみると責任が重くなかなかたいへんな仕事ではあるのですが、とても楽しくやりがいもあります。それは、この仕事をするのに、インプロの考え方をいろいろ試せているからとも思います。

スタンフォード大学のインプロの先生Patricia Ryanとお話しした時、インプロと日本で生まれた心理療法はとても似ていると言っていました。森田療法は、あるがままの現実を受け容れ、自分のなすべきことをするように言う。内観療法も、周りの人達が自分に与えてくれているものに気づくことから始まる。これが、受け容れること、相手をよく見ること、相手にいい時間を与えること、いまここに生きることなど、Keithのインプロのさまざまな考え方と合うのだそうです。これは、Keithが十代の頃、日本の本を含め、東洋の本をむさぼるように読んでいたことと関係するのかもしれません。

私は、期せずして、ワークショップ以外に、自分のインプロを失敗しながら試していく場を与えられたのだと思います。このカウンセリングという場でも自分のインプロを育てていければと思っています。

(2005/2/24)