今月、都内の小学校の4年生のクラスで、3回にわたりインプロのワークショップをさせてもらいました。
4年生は1学期に会うのと3学期に会うのではまったくちがう人種というぐらい1年間で急激に成長します。その中でも3月の5年生直前の4年生とやるインプロワークショップはファシリテーションがもっともむずかしいもののひとつかもしれません。
おもしろいことをしたい盛りで火がつくと止まらない子たち(主に男子)と、自己検閲がはじまっていて恥ずかしくなったり引いてしまったりする子たち(主に女子)が、一緒にできる何かを探ることがとてもむずかしい。
でも、「ショットガン方式」で、いろいろなものをちょっとずつ試してみて、これは大丈夫、これはダメ、とデータが蓄積されてくると、少しずつ当たるもの、つまり、みんなで楽しめるものを見つけられるようになります。
できなさそうなゲームでも、どういう順番でやるか、どのバージョンでやるか、何人組でやるか全員でやるか、何人組の決め方をどうするか、デモンストレーションをどうするか、ファシリテーターのステータスや雰囲気をどうするか、見る活動をどう入れるかなど、うまく調整したらできたりします。
むずかしいワークショップだからといって、無難なかんたんなゲームだけにするのでなく、リスクのあるゲームにも勇気を出してチャレンジするのも、もしインプロファシリテーターがアーティストであるなら、とても大事だと思っています。
生の子どもたちからフィードバックをもらえる場は、ファシリテーターが成長するためには本当にありがたい場です。子どものリアクションは正直なので早く学べます。特に3回いただけるのはとてもありがたい。今の私の実力だと、1回で探って当たりを見つけるまでいくのは至難の業です。
でも、これもたくさんの場数を踏んでいくと、もっと早く、もっと楽しいものを見つけられるようになりそうです。
子どもたちの様子を見ながら、スピノザのことを考えていました。
子どもたちはあれができないこれができないという不完全な存在ではない。それぞれちがう完全である。子どもたちはゲームの中で自分の潜在能力を発見し、それを広げたりコントロールしたりする術を、自らの好奇心と衝動をエネルギー源に、快・不快の感覚を手がかりにして勝手にどんどん学んでいきます。
インプロはそんな自分を実験する場を子どもたちに提供できるんだなと思いました。
(2019/3/25)