村田光二先生

一橋大学社会学部・大学院社会学研究科教授の村田光二先生の最終講義を聴きに行ってきました。村田先生が他大の学部生だった見ず知らずの私に声をかけてくださらなければ、私と一橋大学の縁はありませんでした。博士論文の審査もしてくださいました。私の人生においてとても重要な方です。

たくさんの人たちが集まった大教室で、先生は最終講義のすべての時間を使って、研究者としての自分のことでなく、教員としての自分のことを語られました。村田先生は社会心理学、私は演劇教育ではありますが、先生から受けていた影響は多大なものであったとあらためて確認しました。

初回授業の出席必須、履修者に自己紹介を出してもらう、授業課題で授業外の活動に参加してもらう、授業はおもしろく、外部からのゼミ参加を歓迎する、ゼミ生を外に連れ出す、卒論はゼミのチームワーク、卒論の校正をゼミの後輩がする、などなど、思えば全部、村田先生のスタイルを踏襲したものです。

授業のやり方、ゼミのやり方、論文指導のやり方など、大学教員の教育スタイルは良くも悪くも自分が受けてきた教育スタイルを再生産してしまいますが、私は村田先生からとてもいいものをたくさん受け継がせてもらったなと思いました。

研究においても、まわりの他者や環境の影響によって人の世界の認識や行動はつくられていくというずっと変わらない視点は、村田先生から学んだもののように思います。

タモリが赤塚不二夫への弔辞で「私もあなたの数多くの作品のひとつです」と言いました。私も村田先生の数多くの教育業績のひとつだと思いますし、そう言っていただけるようにこれからもしっかりやっていこうと思いました。

先生は成城大学社会イノベーション学部に移られるとのこと。これからもポジティブな雰囲気あふれるリーダーシップでたくさんの人材を育てていかれることと思います。

大学院生として7年近く、その後すぐ教員として4年ちょっとを過ごした一橋大学ですが、中に入ったのはすごく久しぶりでした。2009年4月1日朝8時半、徹夜での研究室の片付けを終え、最後の段ボール箱を抱えて西キャンパス正門を出て以来、9年ぶりでした。

(2018/3/19)