大学生が楽して単位を取れる授業を求める時代ではない

今はもう大学生が楽して単位を取れる授業を求める時代ではない。学生はおもしろい授業、心と頭が動かされる授業、学びたいことを学べる授業、それをつうじて成長できる授業を求めている。大学教員が大学生だった時代は楽して単位を取れる授業を求めていたかもしれないけど。

経済的にたいへんな中、なんとかやりくりして大学に来て、楽なだけの授業を取って何の意味がある?と思っている。楽して単位だけそろえて卒業してしまったら、卒業後にたいへんなことになってしまうと学生たちはもうわかっている。昔とちがって卒業しただけでは何にもならない。

大学教師が授業でできることは2つ。学生が学びたいことが学べる授業するか、学生が今は学びたいとは思っていないけど、ふとしたきっかけでその授業に出会ったらおもしろくて虜になってしまうような授業するかだ。

学生が授業に来たがらないからといって、必修授業を増やし、出席をきびしくするのはまちがっていると思う。そういう制度設計をしようとするのは、楽して単位を取ろうとしていた世代の人間だ。

むしろ選択授業を増やし、出席に自由度をあたえる。そうすれば、教師も今自分がやっている授業がおもしろいか、おもしろくないか、出席する学生の数から正確なフィードバックを得られるだろう。そして、結果的に、学びたいという熱意を持った学生たちと充実した授業ができるようになるだろう。

学生が何をどう学ぶかを決めるのは教師でも学校でも政策決定者でもない。その学生である。

テクノロジーが発達し、学ぼうと思えばいろいろな方法で学べるようになってきている。大学に来なくたって学べる。自分の学びに責任を取らなければならない時代。学ぶことへの主体性がない学生にとっては厳しい時代だ。

(2019/4/9)