他人に学べと言っておいてあなた自身は学んでいるのか?

私の友人、中原淳さん(東京大学)の言葉で、私がとても好きなものです。

他人に学べと言っておいて、あなた自身は、学んでいるのか?
他者に変われと迫っておいて、あなた自身は、変わる覚悟はあるのか?
他人に成長すること、成熟することを願っていて、あなた自身は、成長しているのか?

あの人は学ぶ「べき」だけど、わたしは学びたくない。
あの人は変わる「べき」だけど、わたしは変わりたくない。
あの人は成長する「べき」だけど、わたしは成長なんてしなくていい。
「他人」に対して「べき」を使い、自分は「別」だと思っていないか。
(中原淳)

私はさまざまな組織からインプロのワークショップの依頼を受けますが、その依頼された方自身はインプロのワークショップには参加したがらないということがたまにあります。人にはさせようとするのに。そういう場合、インプロによる変化はあまりないことが多いように思います。

逆に、インプロのワークショップを依頼された教師の方、劇場の方、人材育成担当の方、管理職の方(または社長)が、熱心にワークショップに参加される場合、インプロが大きな変化をもたらすことが多いように思います。ワークショップがはじまる前に勝負は決まっています。

私はインプロのワークショップで「人は人を変えることができない」と話します。人が変えることができるのは自分だけです。もし人を変えたように見えたとしたら、それはその人が自分で変わったのです。あなたの望むように。そのときは、その人に感謝しかありません。

インプロが誰かを変えることもないと思っています。もし誰かが変わったなら、それは自分で変わったのです。インプロはそのきっかけを提供したに過ぎないのです。インプロに自分を変えてほしい、インプロにあの人を変えてほしい、と願う受動的な人には、インプロは何ももたらさないと思います。

ちなみに中原淳さんの講座に呼ばれてインプロワークショップをするとき、中原さんはジャージで現れ、ワークショップに参加します。「こういうの苦手なんだよねー」と笑顔で言いながら。

(2018/2/19)