1.音楽で、それぞれ独立している二つ以上の旋律を組み合わせて構成する作曲技法。2.建築、映画、文学などで音楽の対位法を応用して、二つの対位的な雰囲気の様式、情景、主題などを組み合わせて作品を構成する手法。(小学館国語大辞典)
インプロで結婚式のシーンをやる時、ものすごく明るい雰囲気から始まることが多いです。逆に病院でのお見舞いのシーンでは、妙に暗い雰囲気から始まることが多いです。それも悪くはないのですが、結婚式でため息をついているところから始まってもいいし、病院で談笑しているところからシーンが始まってもいいと思います。映画を観ても、ジョーズに襲われる前には恋人達は楽しそうに泳いでいるし、戦闘直前の兵士は下ネタで盛り上がっています。逆にスパイダーマンはクモに刺される前はさえない男の子です。こういうつくり方は広い意味で「対位法」と言えるんじゃないかと思います。
明るい中で起きるネガティブなこと、暗い中で起こるポジティブなことは、登場人物の心を大きく揺さぶります。役者としては、そのような大きな感情の変化は経験したくないから無意識に避けたくなるのですが、勇気のある役者はあえてその大きな変化を見せます。そして、それを見たお客さんは喝采します。
大切な人を失った日の満開の桜、土砂降りの雨の中で抱き合う恋人達、こういうシーンってステキだと思いません?私はこういうの、けっこう好きなんです。
(2005/4/7)