即興哲学第90回 脚本のある演劇

私はインプロを始めてもうそろそろ10年になりますが、その間、脚本のある演劇はほんの少ししかやりませんでした。しかし、ここにきて、脚本のある演劇にもチャレンジしてみたいという気持ちが起こってきています。

昨年秋からの目白大学の授業「演劇知研究」では、学生さん達と小劇場、コント、ギリシャ悲劇などいろいろな脚本を読んだりやったりしてみました。そして、この春からの一橋大学いまここシアター脚本組では、イヨネスコの不条理劇から始めてみています。

もともと、大学に入った時には、脚本のある演劇をやっていました。役者や演出をやっている中で、セリフを覚えたり、出ハケや動きを確認したり、照明や音響とタイミングを合わせたりといった段取り的なことに追われて、演劇の核心の部分がほとんどできていない気がしていました。かといって、演劇の核心を扱う方法を持っているわけでもなく、どうしても「テンションを上げて気持ちを入れてがんばる!」それだけにならざるをえない状況でした。そんな時に出会ったインプロは、やっていて面白いだけではなく、その裏に一貫した理論や方法、人間観や世界観が感じられることが大きな魅力でした。

そうして10年経ち、今、インプロで学んできたことを脚本のある演劇で試してみています。今度は演劇の核心に前よりも迫れるでしょうか!?

(2006/5/10)