即興哲学第11回 コンタクト・インプロヴィゼーション(Contact Improvisation)

即興実験学校でやっているものの一つに、コンタクト・インプロヴィゼーション(Contact Improvisation)があります。コンタクト・インプロとは、コンテンポラリー・ダンス(現代舞踊)の一つです。ダンスといっても、ふつうイメージするダンスとは少し違います。振り付けはないですし、体がかたくても、運動音痴でもできます。どんな人でもできるダンスなのです。

私は昨年の夏、カルガリーで、このコンタクト・インプロと出会いました。コンタクト・インプロを教えてくれたのは、Betty Poulsen。彼女のクラスはとてもリラックスしたものでした。最初は、床の上をみんなでごろごろ。あとは、マッサージをし合ったりとか。そして、もたれ合いながらバランスをとったり、一人が目をつむってもう一人を指一本で誘導したりなどします。やがて、手で触れないで熱だけで、目をつむっている人を動かしたり、背中の上ででんぐりがえしができたり、だんだんいろんなことができるようになっていきます。不思議なのは、それが見ていておもしろく美しいということ。振りも何にもないのに、ダンスになっていること。

インプロをするときにはメンバー同士で信頼し合うことがとても大切です。でも、ただ口で「信頼しよう」、「助け合おうね」といっても、信頼感は、なかなかできないものです。だから、からだで信頼感をつくることがとても大切になってきます。コンタクト・インプロは、この、からだで信頼感をつくるのにとても有効です。そして、楽しいし、気持ちいい。そして、誰でもできる。その人その人の個性がおもしろいし、その個性がぶつかりあって新しいものができるのもとてもおもしろい。

なかなか文章で説明できなくてもどかしいです。この不思議なダンス、ぜひ一度観に、あるいは体験しに、即興実験学校へいらっしゃいませんか?

(2002/4/3)