即興哲学第65回 Keithのディレクティング

今年の夏もBATSでショーに出ていました。ショーの形式はマエストロ。Keithのつくった個人対戦型のインプロショーです。KeithがBATSにいる間は、彼がディレクターをしてくれます。

Keithのディレクティングの面白いところは、前もってやることを考えず、すべて即興でやることを決めることです。たいていのディレクターは、前もってこういうゲームやシーンをやろうと考えてきます。しかしKeithは、シーンをやるプレーヤー達が前に出てきたら、まずプレーヤー達の顔を見ます。そしてプレーヤー達をインスパイアできそうなゲーム、シーンの設定を思い付いて提案します。そして、Keithは再びプレーヤー達の顔を見ます。顔にぱっと光が点くような感じの時は、きっとプレーヤー達はインスパイアされているので、それをやる。もし顔に光が点かない時には、取り消して別のことを提案する。そういうふうにして、やることを決めているのだそうです。

ディレクターもインプロヴァイザーであり、相手にいい時間を与えようとしてるんだなぁと、ショーに出ながら私はあらためて確認したのでした。

(2004/12/1)