即興哲学第9回 Joshua(ジャシュア)

Bay Area Theatresports(BATS)の音楽監督Joshua Raoul Brodyの来日が決定しました!Joshuaは即興のシーンにキーボードを使って即興で音楽をつける即興ミュージシャンです。また、Barbara Scottとともに、20年近くもの間、インプロソングを教えています。私も、ソングのクラスを何度も取りました。すごくお気に入りのクラスです。歌に全く自信のない生徒たちでも、歌詞もメロディーも即興でつくりながら堂々と歌えるようになり、即興でハモれるようになり、果ては即興でオペラやミュージカルができるようになってしまうのです。それはもう、Joshuaのピアノに歌わされてしまっているといった感じです。

Joshuaの来日のきっかけとなったのは、昨年の夏のBATSサマースクールでした。ソングの授業が終わった後、私はJoshuaのところに行って質問しました。「日本に帰って、Joshuaなしで、どんな音楽のインプロができると思う?」そうしたら、Joshuaは、顔色変えずに、こう即答しました。「Airfare(飛行機代)。」英語に自信のない私、聞き取れなかったと思って「え?」するとJoshuaはこう言いました。「飛行機代を用意してくれたら、僕が日本に行く!」それでJoshuaの来日が決まったのです!

Joshuaの言葉ですごく印象に残っているものがあります。BATSで、マスクの授業と、ソングの授業が終わった後、舞台裏の部屋で彼は話してくれました。“Mask is not important. Song is not important. Brave is important.(マスクが大事なのではないし、ソングが大事なのではない。勇気が大事なのだ。)”BATSの授業はすべて、即興役者が、恐ろしい場である舞台に、勇気を持って上がり、自信を持って立てるようになるためのものなんだということに、このJoshuaの言葉で気づきました。

今回の来日で、なるべく多くの人たちが、このすばらしいJoshuaと出会えればと思っています。

(2002/3/6)