即興哲学第57回 恐怖と自由

Keithは、舞台上で役者が感じる恐怖のことを非常に重要な問題としています。役者は、他の人から評価されるのを恐れ、未来に進み自分が変えられていくことを恐れ、人に見られることを恐れます。そして、その恐怖のほとんどは実は根拠のないものです。自分の想像がむくむくとふくれあがってきて、恐怖となる。そして、自分の思ったこと、感じたことをそのまま表現することが怖くてできなくなる。恐怖が自分の創造性を不自由にする手錠、足かせとなるのです。

私は、最近、この恐怖の問題を日常生活の中で強く感じるようになってきました。例えば、身の回りで、自分の意見を主張したり、激しく議論をする風景を見ることが少なくなった気がします。そのこと自体、悪いことだとは思わないのですが、こんなことを言ってしまうと、相手を怒らせてしまい、二度と関係を修復できなくなると想像して、過剰に恐れてしまっているように見えます。

テレビを見ていてもそう思います。マスコミがあるものが怖い、ある人々が怖いと、ありとあらゆる手で何度も何度も流す。そして、私達の想像はふくらんでいって、恐怖となる。そして、恐怖をつくり出すことによって、世の中を思い通りにしたり、お金を儲けている人達がいる。

どうしたら、私達は恐怖から自由になれるのでしょうか?私は、インプロをやりながら、仲間とともに、この問題の答えを探っていきたいと思っています。

(2004/6/23)