即興哲学第97回 misbehavior

先月、今月とLoose MooseのShawn Kinley氏が来日しました。即興実験学校でのワークショップもすばらしいものでした!

今回、私がShawnから学んだ中でもっとも大きかったものはmisbehaviorです。これは、mischiefともplayfulnessとも言い換えられる概念で、日本語だと、「茶目っ気」とか「いたずらっ子」とか「いらんことしい(方言)」となるかと思います。いたずら心と純真さを持って、何か仕掛けてやろうとワクワクしているような状態です。適度なmisbehaviorがある時には、舞台上にはオファーが溢れ活気が出てきます。一方、misbehaviorがなくなると、役者はいい子になってしまい、いいことをしようと考え過ぎて慎重になり、リスクを取って行動することができなくなってしまいます。舞台上がピンチになっていても、とりあえず何かしてやろうと舞台に出ることはなく、舞台袖でどうしようどうしようと見ているだけになってしまいます。私は自分のやっているインプロには、このmisbehaviorが欠けているなぁとずっと思っていました。

Shawnはmisbehaviorを多くします。彼は常に自由だし、迷い無くオファーをし、ピンチの時にも舞台に出て必ず仲間を救います。そこで彼にmisbehaviorについて教えてもらいました。そこでわかったことは、misbehaviorは個人の特性や行動のことではなく、関係に関わることだということでした。個人の力だけでmisbehaviorをしようとしても難しい。misbehaviorには何を仕掛けても大丈夫だし、やり過ぎた時には止めてくれるという仲間への信頼が必要だということです。信頼できる絶対的に強い存在がそばにある時に、人はよくならなきゃという足かせを外して、自由になることができるんだなと発見しました。

(2007/6/13)