即興哲学第18回 ショーの時間構成

今回は、ショーの話に戻って、ショーの時間構成について書きたいと思います。

ショーでは、演ずる側としては、ずっと面白いシーン、抱腹絶倒のシーンをやり続けたいと思うでしょう。でも、キース・ジョンストンは、そうではない方がいいと言っていました。オープニングを面白く、その後は、ずっと普通でやって、第1部の終わり、休憩時間の前にちょっと面白くして終わる。休憩が終わって、第2部にはいるとき、ちょっと面白く入って、あとは普通。そして、ショーのラストでその日一番の面白いシーンが来る。こういうのがベストなのだそうです。

もし、ずっと面白いものが続いてしまうと、観客が疲れてしまうし、1つ1つのシーンの印象が薄れてしまいます。始めと終わりさえ面白ければ、そのショーの全体の印象もよくなるそうです。

心理学の記憶の研究によると、人はいくつかのことを連続して覚えるとき、最初に出てきたものと最後に出てきたものはよく覚えているそうです。そういった人間の仕組みをうまく利用したショーの時間構成だと思います。

(2002/7/3)